パリ市内でフランス人家庭のピアノを調律しました。

2012.11.21

パリでお世話になる方に案内していただき、車を運転して、フランス人アーティストの家庭にある、プレイエルのグランドピアノ(3Bis)およそ半世紀前のピアノを調律させていただきました。現地の方によると、相当調律し難いピアノらしく、高音部がよく弦が切れるので高音だけ張り替えたそうで、この日もなんと中音の弦が切れたとの事で、急遽来てくれとの依頼で向かいました。到着し、早速ピアノの中を覗き込んでみると、どうも弦は切れていないようです。でも1カ所発音がおかしな、鍵盤を弾くとハンマーが弦を押さえつけてしまい、音が全く伸びません。アクション内部をチェックすると、あっ!やはり、ある部品(キャプスタンボタン)についているはずのブッシングフェルトが剥がれ落ちてしまっていました。それを付け直してあげると元の状態に戻りました。それからこのピアノを調律しました。僕としては、このピアノはそれ程やりにくくなく、まだまだしっかりとした独特の力強い音がして、調律後にまたチャイコフスキーの舟歌を弾くと何とも言えない美しい音色が放たれました。その音を聴いてフランス人アーティストのマダムがピアノの前に現れ、調律を気に入っていただいたように思えました。試弾なさいますか?と聞くと大丈夫よ!とそのあとの言葉は何を言われたのか分からなかったのですが、お茶をいただいてその家を後にしました。それから、僕は、軽く食事して、今度は1人で、住所を聞いて車のナビゲーションに入れて、パリ郊外に住む日本人の学生の御宅に修理と調律に伺いました。ヴァンセンヌの森のもう少し先にあり、ここにはシンメル社の小型の古いグランドピアノがあります。このピアノも随分手を焼いているらしく、今回も一番下の鍵盤が弾くと下がったまま上がってこず、左のペダルを踏むと何とも言えないギシギシという雑音がでて、また、ある鍵盤を弾くと、カチャッと音がしてやはり演奏に差し支えがあります。このピアノは外装はとても綺麗で、中は弦を中音から高音にかけて全て張り替えられているのですが、やはり相当な量を弾き込まれていますので、ピアノが悲鳴をあげている様にも思えました。これらの問題を全てクリアにして、調律をして、こちらのコンセルバトワールの学生さん(山本さん)に作業後の状態を試弾していただき、とても喜んでいただき、後にしました。この日はこの2件を実施すると、もう外は暗くなり、パリ市内の大渋滞にも巻き込まれ、家に帰るともう遅くなっていました。

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