高音部、断線止修理

2013.7.22

今月、グランドピアノを2台所有させるピアニストをご紹介いただきました。お話しによりますと、高音部でかなり頻繁に断線があるそうで、1ヶ月で多いと数回切れるそうです。張り替えてもその張り替えたところがまた切れるみたいで、先生も相当ストレスになっておられました。初めてお伺いさせていただき、ピアノの機種、製造番号を見ますと、ピアノはC5、まだ製造後10年ちょっとでまだまだ古いとは言い難い新しいピアノです。高音部で2カ所切れていて、とりあえずその部分を張弦し、その周辺の音を修正して、先生に断線しない様に修理を施し高音部の弦を張り替えて、アクションを全体的に調整する事をお勧めして、2日間丸々かけて実施させていただきました。断線の原因は様々ですが、常習的に起こる様になると、次高音からベアリングがあり、このベアリングと弦との接点は相当な圧力がかかっていて、ベアリングという金属側に弦の跡が、いや相当な溝が出来ていて、その溝をヤスリで綺麗に鏡の様に磨き、その上から弦を張り直してあげますと、最低でも5年間は断線がピタッと止まります。そして、アクションの調整、整調も乱れが大きくなると弦に余計な負担がかかる様になるので、とても重要です。タイムスケジュールとしては弦の張替えに1日アクションの調整に1日です。今回の様な張弦の際にはチューニングピンも一緒に交換した方がいいと思います。頻繁に弦が切れている訳ですから、何度も同じピンを回していますからトルクがかなり弱くなっています。ピンのトルクが弱いと調律もし辛いですし、調律の保持力も悪くなりますし、ピントルクと断線の因果関係は有ると僕は思います。修理終了後、ピアノを見ますと張り替えた部分とそうでないところの差がかなりあります。当然ですが、高音部は新品です。これでまず断線が止まり、楽器としても向上したのではと思います。修理後中2日で一度引き上げにお伺いさせていただき、次回は1ヶ月後にお伺いさせていただく予定です。

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