技術者としてお勧め出来る中古ピアノ

2014.1.19

市場にピアノという楽器がほぼ、飽和状態となり、新品の売行きが落ち、それに伴い生産コストの問題で価格が上昇、売れないところへもってきて価格が上昇するため余計に売れなくなるという悪循環を繰り返している様に思う今の新品ピアノの販売業界。僕がヤマハに入社した20数年前頃は、グランドピアノC3が、140万円で購入出来たものが、今では220万円を超える価格となっています。世の中の物価上昇率から考えるとちょっとピアノの価格は上がり過ぎのように思います。何年かに一度モデルチェンジをしては価格を改訂し、メーカーは今回のモデルチェンジで良くなりましたと歌いますが、私、技術者としてはそれ程良くなったとは思えず、今の新しいピアノが、悪いとは申しませんが、ユーザー側としてのコストパフォーマンスが少し悪いと感じずにはいられません。例えば、20年前の中古ピアノは今現在ではそれは、使用頻度や経年変化による疲労や衰えは当然ありますが、新品当時の事を想像しますと、今の新品とそれ程の優劣はつけ難いと僕は考えます。ヤマハピアノ、特にグランドピアノは、昭和40年代にピアニストの巨匠、リヒテルと共に急激に成長し、昭和50年代後半には既に楽器として完成されていたと思います。ですから、20年.30年以上前のピアノをお持ちの方でございましたら、買い替えもひとつの選択肢だと思いますが、ピアノとしての寿命は、一般的に75年位と言われていますので、ハンマーや弦等の主要部品を交換して十分お使いいただけると考えます。ただ、この修理は、ただ部品を交換したらいいものでは無く、楽器として修復するためには相当な技術と経験が必要です。修理のお話を少し致しましたが、今現在、市場には本当に様々な、そして状態の優れた、また驚く程新しい中古ピアノが物凄く沢山あります。これからの半世紀は中古の時代だと思います。そして、中古の市場に良き状態のものが少なくなってきた頃、また新品が見直され、その時代が来るのだろうと考えます。僕は今、タケモトピアノ様で、顧問調律師として務めさせていただいています。ここには日本最大規模のピアノの流通があり、日本では販売がもう厳しいかなり古いピアノも沢山ありますが、新品と比較対等出来る楽器、ピアノが本当に沢山あります。その新しいピアノを一台でも多くお客様に喜んでいただけますよう手入れをさせていただいています。ホールにありますコンサートピアノは調律以外に年に一度は保守点検というタッチ感と音質と整える作業をしています。僕はここで手入れをさせていただく全てのピアノにこの保守点検を実施しています。お一人でも多くのピアノ愛好家の方、アーティストの方々に満足していただけますよう頑張っています。技術者は楽器を売ったらおしまいでは無く、そのピアノを長きに渡り調律させていただいてこそのお仕事ですから、価格も大切ですが、それだけでは無く、その楽器の、中古としての品質をどこまでも追求して参ります。

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