SAP RENOVATION

2014.3.28

ポーランドに到着し、翌朝、散策する時間も無く、車で10分程のところにある、巨大なピアノの修理工場、「SAP RENOVATION」を訪れました。ポーランド語は全く話せないところ、唯一、フランス語を話すスタッフが1人おられ、クリストファーさんにいろいろ案内して頂きました。まずは、トラックに積んでいる、古いブルッツナーのグランドを降ろし、状態をチェックしていただき、修理見積りを出していただきます。その後、修理完成品の沢山置かれた部屋(ショールーム)に通され、一台一台見させていただき、その修理の完成度の高さに驚くばかりでした。ピアノの部品ひとつひとつを丁寧にバラしていき、ハンマーや弦、チューニングピン他、細かいアクション部品を全てリペア及び交換。外装も一旦全て塗装を剥がして全塗装。弦の張力を支える鋳物のフレームも取り外し塗装し直し。ここまでであれば、日本のヤマハではお金さえ支払えば実現可能であると思いますが、こちらでは、見させて頂くに、どうも芸が細かい印象です。ボルトの1本、ネジ1本まで新品に交換され、ピアノ中見渡す限り、手の加えられていない所が見つかりません。持ち込んだブルッツナーの見積価格は、8000ユーロと提示されました。今の日本円に直すと、約1120000円。これを安いと見るか、高いと見るか、もしこの様な修理を日本で依頼したら恐らくこの費用では難しいと思われます。修理は、経験と知識が本当に重要。部品を交換してから、楽器として素晴らしい能力を発揮できる様にするには相当のものが必要。そしてここには、やはり、スタインウェイやベーゼンドルファーが多い様に思いましたが、ありとあらゆるメーカーのピアノが運ばれて来て、ボロボロだったピアノが、素晴らしい楽器に蘇ってユーザーの元に帰っていきます。そのピアノに合わせて部品を加工していくなどの様は、計り知れない技術が求められ、それを完璧な迄に実行されています。さすが、ヨーロッパ!アッパレあっぱれ。ただ、どちらかと言うと、新しいものが好まれる日本では、需要がどうか、ここ迄のものはやはり難しいのかなと思われます。そして何故、ポーランドにあるのか、僕なりに解釈するのは、ひとつはこの国の物価の安さもあるのではと思います。フランスと比較すると、タバコも安いし、ホテルの宿泊費やレストラン、スーパーでの買い物の支払いをとって見ても随分安いと感じました。この工場がもしフランスにあったら1.5倍から2倍位は費用がかかると思われます。ヤマハやカワイのピアノも何台か修理に入っていました。オーバーホールの工場内は撮影禁止でした。こんな規模の修理工場は今迄に見た事がありません。まるで、静岡県掛川市のヤマハの新品のピアノを作る工場を見たかの様なところで、大変勉強になりました。

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