巻線一筋の職人の作る弦に惚れ込んで

2015.6.26

東京へ2泊して、今度は浜松へ移動して、浜松には今も多くのピアノの修理工場や部品や工具を扱うお店やピアノの低音部の巻線の弦を作る会社がありますが、僕はとある浜松の巻線一筋のところに巻線をお願いしています。かれこれ15年以上にもなりますが未だ1度も作ってくださっている方にお会いしていませんでしたので、今回初めて訪ねてお会いしてきました。1台のピアノには低音部にはピアノ線に軟銅線を巻いて作られる巻線とピアノ線があります。ピアノには国産の鈴木とドイツのレスロー社のピアノ線があり、レスローのピアノ線は、常に持っています。しかし低音部の巻線は、機種、製造番号により長さも太さもみんな違い、その都度必要な時に作っていただかないといけません。ヤマハのピアノであれば純正品をヤマハ本社に注文する方法があります。その際、事務方に注文し、事務方が本社に連絡し、本社が、巻線の部署に伝えそこから送られてきます。結果幾つもの人間を経由します。純正品は間違いないというか無難な選択と言えますが、何箇所も経由するという事はまず時間も結構かかりますが、自分の意思や気持ちは伝わることはありません。そして無難な選択ではありますが、もしその弦に問題があった場合などは正に面倒な事になります。僕は本社の純正パーツを悪く言うつもりはないという事を始めに申し上げておきます。純正パーツでは、コンサートピアノやSクラスのセミコンは職人が手巻きで巻線を作り、Cクラス、Gクラスのピアノは機械(ロボット)が作っているそうです。このロボットは僕は見た事ありません。そして弦の材質はコンサートピアノ、Sクラスはレスロー社(ドイツ)軟銅線はデーゲン社(ドイツ)を使用し、Gクラス、Cクラスは国産の鈴木のピアノ線に古河巻線(国産)を使用しています。品質も値段もコンサートピアノやSクラスで使用しているものの方が高いです。僕はあえて純正品をあまり使わず、巻線一筋の職人さんにここ15年以上頼んでいます。良い点として、僕の電話が直接弦を作る職人と繋がり、要望や意見が直接伝わり、途中に経由するところが無いのでとてもスピーディーに届くという点があります。そして何より僕はその職人を信頼して惚れ込んで使わせてもらっています。伸びのある良い音が僕は出ていると思います。しかし、世の中にはやはり賛否両論がありますので今回初めて自分の目と耳で確認し、自信が確信になったと思っています。職人が全て1本1本、手巻きして作る弦に惚れ込んでいます。しかし、職人は歳も取ってきています。1年も1日も長く作り続けていただきたいと強く思います。

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