一日かけて全体調整

2012.3.16

今日はとあるピアノの先生の御宅で、グランドピアノを一日かけて、全体調整しました。僕はこちらの先生のお宅にお伺いさせていただくのは3回目なのですが、初めてお伺いさせていただきぽろっと最初に弾いた時、音が狂っているのはしょうがないけど、何とも弾きにくいピアノだなと思いました。このピアノを過去調律した技術者を悪く言うつもりはありませんが、調律以外の事はほぼ何もなされていない様な状態でした。その時は僕は2時間位しか時間が無かったので、とにかく弾ける状態にするため何とかまとめ、お客様であります先生に現状を説明しますと先生ご自身も弾きにくいと感じておられたそうで、この先の調整の際に少しずつ調整の工程を取り入れてやって行く方法もありますが、一度にやってしまおうという先生のお考えで今回、全体調整を実施させていただきました。全体調整=保守点検です。では今回、何を一体したのか、簡単に説明させていただきます。1、鍵盤アクションを引き出し、ハンマー部分ブラケットを外し、鍵盤を全て外し、掃除、鍵盤が通るバランスとフロントの前後2本の金属製のピンを特殊な潤滑剤を僅かに付け88鍵磨き、鍵盤を入れ、鍵盤の動きをストレスのないように調整する。この工程は僕は最もと言っても過言ではないですが、かなり大切な調整です。鍵盤の上にアクションが乗っかって、鍵盤を押さえてアクションが弦を叩いて音を出すのですが、いくらアクションを調整してもその土台の鍵盤の動きがストレスがあっては、極端に言ってしまいますと、何にもなりません。 2、ベデイング調整をし鍵盤の高さの基準を取り鍵盤の高さを88鍵盤均一にし、今度は鍵盤の深さも88鍵均一にします。 3、レペテイションアクション、ハンマー側の調整を約8工程実施します。 4、ペダル調整、かんざし交換、ストローク、等、 5、ダンパー 止音不良の修正等、 6、確認 以上が今回行いました全体調整の内容です。本当にやり出しますとキリが無く、一日でも足りない位です。でも今回、この作業で、ピアノは生まれ変わり、大変弾きやすく、気持ちいいタッチになりました。

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