タケモトピアノ出社日

2012.9.22

昨日は毎月1回のタケモトピアノ様へ出勤させていただきました。今回は、1993年製造のC5E、ヤマハのグランドピアノをお手入れさせていただきました。朝、社長からのお話では、このピアノは、どうももう一つ音が鳴らない、あまり良くないから、お客様にお勧め出来ない。と営業社員が言うらしく、それを何とかしてもらえないかとの依頼でした。実際、ピアノを見させていただくと、んー、確かに低音域から中音、高音域にかけて、確かに鳴らない感じで、かなり湿気も帯びている様子で、弦はそれ程錆び付いてはいないが、ハンマーは少し動きが悪くなっています。さて、このピアノをどうするか? 保守点検の内容を一通り実施します。朝10時から始めて、夕方6時頃までの時間で、ハンマー整形までやりたかったのでかなり大変で、整調も前の調律師が触ったのだと思いますが、鍵盤の高さが基準より1㎜以上高く、結果、鍵盤の深さも凄く深く、いろんな調整の基準が変えられてしまっていたので、それを基準に戻すのが更に大変でした。ヤマハのピアノは、基準の寸度で調整するといい音が出るように設計されている。とヤマハ時代に、製造現場、アカデミー(学校)からも厳しく教わってきましたので、ここまで基準から大きく外れた調整をしなきゃあいけなかったかなぁと少し考えさせられます。結果的にまだ少々荒削りではありますが、作業前とは明らかに違うピアノに仕上がりました。これでしたら営業社員の方もある程度自信持ってお客様にお勧め出来るようになったのではないかと思います。僕としても、ピアノが比較的まだ新しく、大きさもありましたのでここまで変える事が出来たのかなと思います。ここで僕が思いますのは、これ位の状態のピアノが、市場には物凄く沢山あり、また、現役でも使われています。何でもそうかもしれませんが、ピアノはちゃんとした手が入らなければ、たとえスタインウェイであってもガラクタになります。調律はあくまで音合わせに過ぎません。特にグランドピアノは調律以外の整調(タッチの調整)、整音(音質の調整)がとても大切です。このブログを通じて理解してくださる方がお一人でもいらして下さったら嬉しく思いますし、お一人でも多くのお客様に喜んでいただけるお仕事がさせていただければ最高です。

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